AI活用 エキスパートシステムとマイシン
ある特定の分野に秀でた専門家の持つ知識や、物事を筋道立てて考える能力を、計算機の仕組みの中で再現しようとする研究が、人工知能の分野で進められています。このような仕組みは、専門家のように問題を解決したり、判断を助けることを目指しており、「専門家の仕組み」と呼ばれています。これは、まるでその道の専門家が計算機の中にいるかのように、的確な助言や解決策を導き出す画期的な方法です。
人が経験や直感から得た知識は、普段は言葉ではっきりと説明されない暗黙知であることが多く、これを計算機で扱うのは容易ではありません。そこで、専門家の仕組みを作るには、まず、専門家がどのような知識や考え方で問題を解決しているのかを詳しく調べ、聞き取り調査などを通して明らかにしていく必要があります。次に、明らかになった知識や考え方を、計算機が理解できる形に整理し直します。これは、例えば「もし~ならば~である」といった規則や、論理的な数式といった形で表現されます。これらの規則や数式を組み合わせたものが、専門家の思考を模倣したプログラムの核となります。
専門家の仕組みは、専門家がいない時や、複雑で判断が難しい状況で特に役立ちます。例えば、病気の診断支援や、金融商品のリスク評価など、様々な分野で活用が期待されています。熟練した専門家の持つ知恵を計算機の中に取り込むことで、より多くの人が専門家の知恵を活用できるようになり、社会全体の効率化や質の向上に貢献すると考えられています。ただし、専門家の仕組みはあくまで人間の思考を模倣したものであり、人間の専門家と全く同じ判断をするとは限りません。また、倫理的な問題や、プログラムの限界についても考慮する必要があります。
