RAGとは:検索の活用プロセスや活用例を解説
AIの初心者
AI技術の分野で「RAG」っていう言葉をよく耳にするようになったのですが、どんな技術でしょうか?
AI専門家
「RAG」はAIが自分で持っている知識だけでなく、外部からの関連情報を利用して、精度と信頼性を向上させる技術だよ。
AIの初心者
外部からの関連情報???
AI専門家
「最新の情報」や「企業独自の情報」をAIに与えて回答を作らせるんです、詳しく説明するね!
RAGとは。
RAG(Retrieval-Augmented Generation):検索拡張生成とは、情報を検索する機能が追加されたモデルのことです。従来の大規模言語モデルは、不正確な内容や誤りを含む内容を出力してしまうことがありました。この問題を解決するために、外部の情報を利用した大規模言語モデルが登場しました。大規模なデータを使って学習したモデルには、誤ったデータが含まれていたり、最新のデータが反映されていない場合があります。これらのデータを修正するために再学習するのは非常に大変です。そこで、外部から情報を検索し、その文章を引用したり情報を修正することで、出力の正確性を向上させます。
情報検索で賢くなる
近頃話題の「RAG(Retrieval-Augmented Generation):検索拡張生成」について、詳しく説明しましょう。一般的にLLMモデルは、過去のデータから学習しています。しかし、学習データが古かったり、誤った情報が含まれていると、生成される文章にも古い情報や間違いが混ざってしまうという問題がありました。「RAG」はこの問題を解決するために生まれました。
「RAG」は、外部の情報を検索することで、常に最新の正確な情報を文章に反映させることができます。インターネット上にある膨大な情報だけでなく、最新の研究報告や企業内の資料など、様々なデータを活用できます。そのため、より信頼性の高い文章を作成することが可能になります。
最初にAIは与えられた指示に基づいて、必要な情報を検索します。そして、集めた情報を分析し、整理した上で、文章を作成します。このとき、どの情報源からどの情報を得たのかということも記録されます。そのため、情報の信頼性を確認したり、情報の出典元を明示したりすることも容易になります。参考文献を明記した学術論文のように、信頼性の高い情報に基づいた文章を生成することができるのです。
このように、「RAG」は、最新の情報を反映し、信頼性の高い文章を作成できるため、様々な分野での活用が期待されています。例えば、最新の研究成果をまとめた報告書作成や、顧客からの問い合わせに的確に回答するシステムなど、様々な場面で役立つ技術と言えるでしょう。
項目 | 説明 |
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RAGとは | 外部の情報(最新の研究報告や企業内の資料)を検索することで精度を向上させる技術 |
従来のAIの問題点 | 学習データが古かったり、誤った情報が含まれていると、生成される文章にも古い情報や間違いが混ざってしまう |
RAGのメリット |
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検索強化生成の仕組み |
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活用例 |
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正確さと最新情報を両立
RAGの最も注目すべき点は、情報の正しさと新しさを両立できることです。これまでのよくあるAIモデルは、一度学習した情報が古くなると、新しい情報を学ぶために学び直しが必要でした。これは、多くの時間と費用がかかる大変な作業です。しかし、RAGは、インターネットやデータベースといった外部から情報を集めてくることができ、追加でその情報を与えることで、常に最新の情報を反映させることができます。つまり、学び直しという手間を大幅に省くことができるのです。
例えば、最新のニュースや研究成果を盛り込んだ文章を書きたいとしましょう。RAGは、インターネット上から必要な情報を瞬時に集め、正確で最新の文章を作成することができます。これは、常に最新の情報を基にした判断や情報発信を可能にします。また、企業の業務効率化にも役立ちます。社内資料や顧客データなどをRAGに学習させることで、必要な情報をすぐに探し出し 文章生成に利用することができます。例えば、顧客からの問い合わせに対して、過去の対応履歴や商品情報を利用し回答を作成することが可能になります。さらにRAGは新しい情報を反映させることができるため、古い情報に基づいた誤った判断を防ぐこともできます。
特徴 | 説明 |
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情報の正しさと新しさを両立 | インターネットやデータベースから最新情報を取得し、常に最新の情報に基づいた処理を行うため、学び直しの手間を省く。 |
正確で最新の文章作成 | 最新のニュースや研究成果を盛り込んだ文章を作成可能。 |
業務効率化 | 社内資料や顧客データから必要な情報を素早く探し出し、的確な回答を導出。 |
常に新しい情報を反映 | 古い情報に基づいた誤った判断を防止。 |
仕組みを詳しく見てみよう
今回は「RAG」がどのように情報を集め、文章に組み込んでいるのか、その詳細な手順を見ていきましょう。
RAGは二つの段階を踏んで文章を作り上げます。まず最初の段階では、利用者が入力した質問や指示を手がかりに、必要な情報を外部から探し出します。インターネット上の広大な情報の中から、利用者の求めに合致する情報を見つけ出すのは至難の業ですが、RAGは膨大なデータの中から、利用者の入力内容と関連性の高い情報を、まるで図書館の司書のように素早く探し出す能力を持っています。例えるなら、利用者が「江戸時代の文化」について尋ねると、関連する文献や記録をデータベースから探し出してくるようなものです。
次の段階では、集められた情報を元に、AIが文章を作成します。これは、これまでのAIが文章を作る作業とよく似ています。AIは集められた情報を整理し、自然で分かりやすい文章に組み立てていきます。まるで、職人が材料を組み合わせて、一つの作品を作り上げるように、AIはバラバラの情報から一つの文章を作り上げます。具体的には、江戸時代の文化について集めた情報を元に、文化の特徴や背景を説明する文章を作り上げるといった具合です。
つまり、RAGは「情報を探す」という能力と「文章を作る」という能力、この二つを組み合わせることで、より高度な文章作成を可能にしていると言えるでしょう。まるで、優秀な図書館司書と熟練した著者が共同で作品を作り上げるように、RAGは二つの機能を連携させることで、利用者の求めに応じた質の高い文章を提供しているのです。
類似度の計算方法
情報を取り出す際に、どれほど似ているかを数値で表すことが大切です。これが「類似度」です。利用者の言葉と、集めた情報がどれほど似ているかを数値にすることで、関係のある情報を選び出せます。この類似度の計算には、「単語埋め込み」という技術を使います。
単語埋め込みとは、言葉を数字の列に変換する技術です。意味の近い言葉は、数字の空間で近くに並べられます。例えば、「りんご」と「みかん」はどちらも果物なので、数字の空間では近くに置かれますが、「りんご」と「車」は全く違うものなので、数字の空間では遠くに置かれます。このように、言葉の意味を数字の並びで表現することで、コンピュータは言葉の意味を理解できるようになります。
利用者の言葉と、集めた情報の両方を単語埋め込みによって数字の列に変換します。そして、これらの数字の列を比較し一般的に「コサイン類似度」を計算することで、類似度を数値化します。コサイン類似度は、二つの数字の列がどれくらい同じ方向を向いているかを表す数値です。コサイン類似度が高いほど、二つの情報は意味が近いと判断されます。
例えば、利用者が「果物の種類」と入力した場合、「りんご」や「みかん」の情報は高いコサイン類似度を示し、「車」の情報は低いコサイン類似度を示します。このように、コサイン類似度を用いることで、利用者の求める情報に関連性の高い情報を効率的に探し出すことができます。この技術は、情報検索だけでなく、文章の分類や自動翻訳など、様々な場面で活用されています。
拡張言語モデルという概念
「拡張言語モデル」とは、これまでの言語モデルの働きをさらに広げた、新しい人工知能のことです。これまでの言語モデルは、膨大な量の文章データを学習することで、文章の作成や翻訳、質問への回答といった作業をこなしていました。しかし、学習データに含まれていない最新の情報や、特定の分野の専門知識については、うまく扱うことができませんでした。
そこで登場したのが、この拡張言語モデルです。拡張言語モデルは、外部の道具や情報源を活用することで、これまでの言語モデルの弱点を克服しています。具体的には、インターネット検索や、特定の分野に特化したデータベースなどを利用することで、最新の情報を取得し、専門的な知識に基づいた文章を作成することが可能になります。
拡張言語モデルの一例としてあげられるのが今回の記事で本記事で解説している「RAG」です。たとえば、医療の分野でRAGを使うと、最新の研究成果や治療法に関する情報を調べ、それらを元に患者さんにとって分かりやすい説明文を作成することができます。法律の分野では、過去の判例や法令を検索し、法的根拠に基づいた助言を行うことができます。また、金融の分野では、市場の動向や経済指標に関する情報を分析し、投資判断の材料を提供することができます。
このように、拡張言語モデルは、様々な分野で活用できる、高い汎用性を持つ人工知能です。専門知識が必要な分野でも、正確で最新の情報を元に、質の高い文章を作成することができるため、私たちの生活や仕事に役立つ様々な応用が期待されています。今後、さらに技術開発が進むことで、より高度な機能を持つ拡張言語モデルが登場し、人工知能の可能性を大きく広げていくと考えられます。
項目 | 説明 |
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拡張言語モデル | これまでの言語モデルの働きをさらに広げた、新しい人工知能。外部の道具や情報源を活用することで、最新の情報や専門知識に基づいた文章作成が可能。 |
これまでの言語モデル | 膨大な量の文章データを学習し、文章作成や翻訳、質問への回答を行う。ただし、学習データにない最新情報や専門知識は苦手。 |
RAG (拡張言語モデルの一例) | 情報検索を利用し、必要な情報を効率的に集めて文章に反映させる。医療、法律、金融など様々な分野での活用が可能。 |
拡張言語モデルのメリット | 様々な分野で活用できる高い汎用性。専門知識が必要な分野でも、正確で最新の情報を元に質の高い文章作成が可能。 |
拡張言語モデルの将来 | 更なる技術開発により、より高度な機能を持つモデルが登場し、人工知能の可能性を広げる。 |
未来への可能性
情報検索と文章生成を組み合わせた技術は、発展途上ですが、業務効率化の観点からも大きな可能性を秘めています。
例えばカスタマーサポートでは、製品情報やFAQ、過去の対応履歴から関連データを取得し、個々の顧客に合わせた正確な対応が可能となり、顧客満足度の向上につながります。
新人教育においては、RAGを活用することで早期の戦力化が実現できます。業務マニュアルや社内ナレッジをRAGシステムに組み込むことで、新人オペレーターは自身の理解度に応じて必要な情報にアクセスでき、効率的な学習が可能となります。
このように、RAGは単なる技術革新にとどまらず、ビジネスのあらゆる側面で価値を創出し、企業の競争力強化に貢献していくことが予想されます。
分野 | 活用例 | 効果 |
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カスタマーサポート | 顧客からの問い合わせに自然な言葉で対応 | 顧客満足度向上 |
教育 | 生徒一人ひとりの理解度に合わせた最適な学習内容の提供 | – |
研究開発 | 膨大な量の論文やデータを瞬時に解析し、新発見を導き出す | – |
全般 | 高度な思考や創造的な活動に時間を費やすことができる | 人々の知識や理解が深まり、社会全体が豊かになる |