RAE(相対絶対誤差)とは?計算式・見方・MAEとの違いを解説

AIの初心者
「RAE(相対絶対誤差)」は、普通の絶対誤差と何が違うのですか?

AI専門家
RAEは、モデルの絶対誤差を「実測値の平均だけを予測した場合の誤差」と比べる指標だよ。誤差の単位を消せるので、値の規模が違うデータでも性能を比べやすくなるんだ。

AIの初心者
では、RAEが1より小さければ、平均値だけを使う予測より良いと考えられるのですね。

AI専門家
その理解で大丈夫。0に近いほど良く、1なら基準モデルと同程度、1を超えると基準モデルより誤差が大きいと読めるよ。ただし、ほかの指標や誤差の分布も一緒に確認しよう。
RAE(Relative Absolute Error、相対絶対誤差)は、回帰モデルの予測誤差を基準モデルの誤差で割った評価指標です。住宅価格と商品需要のように数値の単位や桁が違っても、誤差を比率として確認できます。
RAEは0に近いほど予測精度が高く、1が「実測値の平均を常に予測するモデル」と同程度です。この記事では、計算式、具体例、MAE・MSE・MAPEとの違い、使う際の注意点を順に解説します。

RAE(相対絶対誤差)とは
予測値と実測値の差をそのまま表すMAE(平均絶対誤差)は、「円」「個」「度」など元データと同じ単位を持ちます。そのため、住宅価格のMAEが10万円、商品需要のMAEが20個という結果だけを見ても、どちらのモデルが相対的に優れているかは判断できません。
RAEは、モデルが出した絶対誤差の合計を、実測値の平均を常に予測したときの絶対誤差の合計で割ります。こうして誤差を無次元化することで、データのスケールによる影響を抑えます。
ここで大切なのは、RAEの分母が各実測値そのものではない点です。各データについて「絶対誤差÷実測値」を計算し、その平均を取る考え方はMAPE(平均絶対パーセント誤差)に近く、標準的なRAEとは異なります。名称や実装によって定義が違う場合があるため、利用するライブラリの式も確認してください。
RAEの計算式と記号の意味
\(\mathrm{RAE}=\frac{\sum_{i=1}^{n}|y_i-\hat{y}_i|}{\sum_{i=1}^{n}|y_i-\bar{y}|}\)式に登場する記号は次の意味です。
- \(y_i\):i番目の実測値
- \(\hat{y}_i\):i番目の予測値
- \(\bar{y}\):実測値の平均
- \(n\):データ数
分子は評価対象モデルの絶対誤差の合計です。分母は、すべてのデータに対して実測値の平均\(\bar{y}\)を予測した場合の絶対誤差の合計です。つまり、RAEはモデルが単純な平均値予測より、どれだけ誤差を減らせたかを表します。

具体例でRAEを計算する
3日分の実測売上が100個、120個、80個で、予測が90個、110個、100個だったとします。まず実測値の平均は100個です。
| 日 | 実測値 | 予測値 | モデルの絶対誤差 | 平均値予測の絶対誤差 |
|---|---|---|---|---|
| 1日目 | 100 | 90 | 10 | 0 |
| 2日目 | 120 | 110 | 10 | 20 |
| 3日目 | 80 | 100 | 20 | 20 |
| 合計 | - | - | 40 | 40 |
このモデルのRAEは1.0なので、平均値100を常に予測する基準モデルと同程度です。一方、予測値が95個、115個、85個なら分子は15となり、RAEは\(15/40=0.375\)です。基準モデルの37.5%まで絶対誤差を減らせたと解釈できます。
RAEの値をどう解釈するか
| RAEの値 | 基本的な解釈 |
|---|---|
| 0 | 予測値と実測値が完全に一致 |
| 0より大きく1未満 | 平均値を予測する基準モデルより誤差が小さい |
| 1 | 基準モデルと同程度 |
| 1より大きい | 基準モデルより誤差が大きい |
RAEは絶対値を使うため負にはなりません。ただし、「RAEが0.2なら必ず実測値から平均20%ずれている」という意味ではありません。分母は実測値の平均からのずれであり、実測値そのものではないからです。パーセント誤差として読みたい場合はMAPEなどを検討します。
RAEとMAE・MSE・RMSE・MAPEの違い
評価指標は、何を重要な誤差とみなすかによって使い分けます。RAEだけでなく、元の単位で説明できるMAEや、大きな誤差を強く評価するRMSEなどを併記すると、モデルの特徴をつかみやすくなります。

| 指標 | 特徴 | 単位 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| MAE | 絶対誤差の平均。直感的に読める | 元データと同じ | 異なる尺度を直接比較しにくい |
| MSE | 二乗誤差の平均。大きな誤差を強く罰する | 元単位の二乗 | 外れ値の影響を受けやすい |
| RMSE | MSEの平方根。大きな誤差を重視する | 元データと同じ | 外れ値の影響を受けやすい |
| MAPE | 実測値に対する絶対パーセント誤差の平均 | % | 実測値が0または0付近で不安定 |
| RAE | 平均値予測を基準に絶対誤差を相対化 | なし | 実測値がすべて同じだと分母が0 |
RAEと決定係数\(R^2\)も、基準モデルと比べる点では似ています。ただし、RAEは絶対誤差、一般的な\(R^2\)は二乗誤差を基礎にするため、外れ値への反応や値の意味は同じではありません。
RAEが役立つ場面
RAEは、対象の単位や規模が違っても、同じ考え方で作られた回帰モデルを相対評価したい場面に向いています。
- 需要予測:販売量の多い商品と少ない商品のモデルを比較する
- 価格予測:地域や価格帯が異なる住宅・商品のモデルを比較する
- 医療・設備データ:測定レンジが異なる指標の予測性能を確認する
- モデル改善:特徴量やアルゴリズムを変えた前後で、平均値ベースラインからの改善を測る

ただし、住宅価格と株価のような異分野のRAEを比べても、誤差が事業や利用者に与える影響まで公平になるわけではありません。評価期間、データ分割、予測の難しさ、許容できる誤差をそろえたうえで判断する必要があります。
RAEを使うときの注意点
RAEには、計算前に確認すべき条件があります。
- 実測値がすべて同じ場合:分母の\(\sum|y_i-\bar{y}|\)が0になり、RAEを計算できません。
- 外れ値がある場合:絶対誤差の合計と平均値ベースラインの両方が影響を受けます。個別誤差の分布も確認します。
- 評価データが違う場合:同じモデルでも対象期間やデータ構成が変わればRAEは変化します。同じテスト条件で比較します。
- 平均値の扱い:学習・検証・テストの情報を不用意に混ぜると、評価にデータ漏洩が生じます。基準モデルの作り方を明記します。
- RAEだけで決めない:元単位での誤差、最大誤差、業務コストも合わせて評価します。

評価指標を選ぶ実務手順
- 予測ミスが業務に与える影響を言葉で定義する。
- 平均値や直前値など、比較対象となる単純な基準モデルを用意する。
- RAEで基準モデルからの改善を確認する。
- MAEやRMSEを併記し、元の単位で誤差の大きさを確認する。
- 散布図や誤差分布を見て、特定の範囲や外れ値に失敗が集中していないか調べる。
たとえば在庫計画では、RAEが低くても一部商品の欠品につながる大きな過小予測があれば問題です。指標の平均値だけでなく、過大予測と過小予測を分け、重要商品の誤差も個別に確認すると実務判断につながります。
まとめ
RAE(相対絶対誤差)は、モデルの絶対誤差を平均値予測の絶対誤差で割り、予測性能を相対化する指標です。0に近いほど良く、1なら平均値だけを予測する基準モデルと同程度、1を超えると基準モデルより誤差が大きいと解釈します。
RAEの強みは、単位やスケールの影響を抑えながら、単純な基準モデルからの改善を確認できることです。一方、実測値が一定のデータでは計算できず、異なる業務の重要度までは比較できません。MAE、RMSE、MAPEや誤差分布と組み合わせ、目的に合った評価を行いましょう。
更新履歴
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 2025年2月1日 | 初回公開 |
| 2026年7月25日 | RAEの標準式とMAPEとの区別を明記し、値の読み方と計算例を追記 |
