PM理論で読み解くリーダーシップ

PM理論で読み解くリーダーシップ

PM理論とは

仕事仲間をまとめる立場の人にとって、「ピーエム理論」は大切な行動の指針となります。この理論は、指導する人の行動を大きく二つの面から見て考えます。一つは「目標達成」と言い、決められた目的を達成するために、仕事仲間への指示や命令を出し、能率的に仕事を進めることです。もう一つは「集団維持」と言い、仕事仲間同士の良い人間関係を作り、互いに助け合う雰囲気を作ることです。

ピーエム理論では、この二つの面を縦軸と横軸に置き、指導する人の行動を分析する枠組みを作っています。縦軸には「目標達成」を、横軸には「集団維持」を置きます。指導する人の行動が、この二つの軸のどこに位置するかによって、その人の行動の特徴が分かります。例えば、目標達成に重点を置く人は、仕事仲間への指示が明確で、仕事の効率を重視する傾向があります。一方、集団維持に重点を置く人は、仕事仲間の意見を尊重し、働きやすい環境作りに力を入れる傾向があります。

良い指導者は、目標達成と集団維持のバランスをうまく取ることが大切です。目標達成ばかりを重視すると、仕事仲間はプレッシャーを感じ、人間関係が悪くなる可能性があります。反対に、集団維持ばかりを重視すると、仕事がスムーズに進まず、目標達成が難しくなる可能性があります。ですから、状況に応じて、目標達成と集団維持のどちらに重点を置くかを調整する必要があります。

ピーエム理論は、指導する人が自分の行動を振り返り、改善すべき点を見つけるための道具として役立ちます。自分の行動が目標達成と集団維持のどちらに偏っているかを理解することで、よりバランスの取れた行動を心がけることができます。また、仕事仲間との関係性をより良くし、組織全体の成果を上げるためにも、この理論は役立つでしょう。

二つの次元

仕事を進める上で、集団を率いる人は様々な振る舞い方をします。どのようなやり方で人をまとめ、目的を達成するのか、そのやり方には大きく分けて二つの考え方があります。これを「目標達成」と「集団維持」という二つの側面から見ていきましょう。

まず、「目標達成」に重きを置く人は、定められた目的を何よりも優先します。そのため、仕事の手順や指示は明確で、誤解がないように気を配ります。また、仕事の進み具合も細かく確認し、計画通りに進むように管理します。常に結果を意識し、どうすれば効率よく目的を達成できるかを重視します。無駄を省き、最短距離で目的に到達することを目指すので、周囲からは厳しい人と見られることもあります。しかし、組織全体の成果を最大化するためには、このような指導も欠かせません。

一方、「集団維持」を重視する人は、集団を構成する人同士の結びつきを大切にします。メンバー一人ひとりの考えや気持ちを尊重し、良好な人間関係を築くことに力を注ぎます。気軽に話し合える雰囲気を作り、困っている人がいれば親身になって相談に乗ります。このような温かい雰囲気の中でこそ、人は安心して能力を発揮できると考えます。すぐに目に見える成果は出にくいかもしれませんが、長期的に見ると、信頼関係で結ばれた集団は大きな力を発揮します。

このように、集団を率いる人のやり方には様々な種類があり、どちらが良い悪いではなく、状況に応じて適切なやり方を選ぶことが大切です。この二つの考え方を理解することで、集団のあり方や指導の仕方をより深く考えることができるでしょう。

四つの型

仕事を進める上で、人と組織をまとめる指導者の行動には様々な型があると考えられています。それをうまく説明したものが「ＰＭ理論」です。この理論では、仕事の達成と、仲間との良い関係づくりの二つの軸で指導者の型を分けています。

まず、仕事の達成と仲間との関係づくりの両方をとても大切にしているのが「ＰＭ型」です。みんなが気持ちよく仕事を進め、かつ良い結果を出せるように気を配ります。まさに理想的な指導者と言えるでしょう。しかし、常に両方のバランスを取ることは簡単ではありません。状況に応じて、どちらかを優先しなければならない場面も出てきます。

次に、仕事の達成を重視し、仲間との関係づくりをあまり気にしないのが「Ｐ型」です。何よりも結果を出すことを優先するため、時に厳しくメンバーに接することもあります。迅速に仕事をこなすことは得意ですが、メンバーのやる気を削いでしまう可能性も秘めています。

三つ目に、仕事の達成よりも仲間との関係づくりを重視するのが「Ｍ型」です。メンバーの話をよく聞き、働きやすい環境を作ることに力を注ぎます。穏やかで親しみやすい雰囲気の組織になりますが、目標達成がおろそかになってしまう危険性があります。

最後に、仕事の達成も仲間との関係づくりもどちらも重視しないのが「ｐｍ型」です。指導者としてうまく機能しておらず、組織の目標達成やメンバーの成長を促すことが難しい状態です。指導者としての自覚を持ち、意識改革をする必要があります。

このように、ＰＭ理論を用いることで、自分の指導の型を理解し、自分に足りない部分を補うことで、より良い指導者を目指すことができるのです。

状況への対応

仕事を進める上で、どのようなやり方が一番良いかは、置かれている状況によって大きく変わってきます。いつも同じやり方ではうまくいかないことが多く、周りの状況や一緒に働く仲間の特徴に合わせて、臨機応変に対応することが大切です。これを、人のまとめ方にも当てはめた考え方が、今回の話題であるPM理論です。

PM理論では、すべての状況でただ一つのやり方が一番良いとは考えていません。状況や周りの人たちに合ったやり方を選ぶことが重要です。例えば、火事が起きた時など、すぐに対応が必要な場合は、P型と呼ばれる、目標達成を重視したやり方が効果的です。一刻を争う状況では、素早く決断し、行動に移すことが求められます。リーダーは指示を出し、メンバーはそれに従うことで、効率的に問題を解決できます。

一方で、新しい仲間が集まってチームを作るときには、M型と呼ばれる、仲間同士の結びつきを重視したやり方が効果的です。まだお互いをよく知らない段階では、信頼関係を築き、チームとしての一体感を育むことが重要になります。リーダーは、メンバーの話に耳を傾け、意見を尊重しながら、安心して仕事ができる雰囲気作りに努めます。

このように、P型は主に「仕事」を、M型は主に「人」を重視したやり方と言えます。どちらが良い悪いではなく、状況に応じて使い分けることが大切です。締め切りが迫っているプロジェクトではP型、新しいプロジェクトを立ち上げる際にはM型、といった具合です。PM理論は、状況に合わせた柔軟な対応の大切さを教えてくれます。状況を的確に把握し、適切なやり方を選ぶことで、より良い結果を生み出すことができるでしょう。

自己分析と成長

人は誰でも、長所と短所を併せ持っています。特に、集団を導く立場にある人は、自分の特性を正しく理解することが大切です。自分自身の強みや弱みを把握することで、集団をまとめ、目標達成へと導く力をより一層高めることができるからです。このような自己分析に役立つ考え方の一つに、「ＰＭ理論」というものがあります。これは、人の行動特性を「Ｐ」と「Ｍ」の二つの側面から捉える考え方です。

「Ｐ」は、集団の雰囲気作りや良好な人間関係の構築といった、人間関係を重視する側面を表します。一方、「Ｍ」は、目標達成を重視する側面を表し、計画を立て、業務を効率的に進めることに重きを置きます。ＰＭ理論では、人はそれぞれＰとＭのどちらかの特性がより強く表れると考えられています。

ＰＭ理論を用いた自己分析は、自分の行動特性を客観的に見つめ直す良い機会となります。例えば、自分は日頃から周りの人と良い関係を築けているか、反対に、目標達成のために計画を立て、きちんと実行できているか、といった点を振り返ってみましょう。もし、自分がＰの特性が強いと感じるならば、目標達成のための計画性や実行力を高めるための工夫が必要かもしれません。反対に、Ｍの特性が強いと感じるならば、周りの人とのコミュニケーションをより円滑にするための工夫を凝らす必要があるでしょう。

ＰＭ理論は、自分自身の特性を理解し、足りない部分を補うための指針を示してくれます。自己分析を通じて自分の強みと弱みを理解し、継続的に改善していく努力を続けることで、より効果的に集団を導き、目標を達成できるようになるでしょう。重要なのは、現状に満足することなく、常に学び続け、成長していく姿勢を持つことです。

組織への応用

仕事を進める手法としてＰＭ理論を取り入れることは、個々の指導者の育成だけでなく、組織全体の指導力を育てる上でも役立ちます。この考え方を組織全体に広げることで、指導者育成のための研修内容を決めたり、指導者の配置について考えたりすることができるようになります。

ＰＭ理論は二つの軸から指導者を考えます。一つ目は仕事に対する考え方で、これは「仕事の達成」を重視するか「人との関係」を重視するかという視点です。二つ目は仕事の進め方で、これは「指示する」やり方か「参加を求める」やり方かという視点です。ＰＭ理論ではこの二つの軸を組み合わせ、指導者を四つの型に分類します。

組織はＰＭ理論をうまく使うことで、色々な型の指導者を尊重し、それぞれの長所を生かした組織運営を行うことができます。例えば、新しい仕事を始める段階では、仕事の達成を重視し、指示する型の指導者が適任かもしれません。一方で、新しい計画を考える段階では、人との関係を重視し、参加を求める型の指導者が適任かもしれません。このように、状況に応じて適切な指導者を配置することで、組織は最大の成果を上げることができます。

さらに、ＰＭ理論は、組織における指導上の問題点を明らかにし、解決策を見つける上でも役立ちます。例えば、指導者と部下の関係が悪化している場合、ＰＭ理論を用いて指導者の型を分析することで、問題の原因を特定することができます。もしかしたら、指導者が一方的に指示するばかりで、部下の意見を聞かないことが原因かもしれません。このような場合は、指導者に部下の意見を尊重し、共に考えることの大切さを理解してもらうことで、問題の解決を図ることができます。

組織全体でＰＭ理論を学ぶことで、指導者に関する共通の理解を深めることができ、組織全体の指導力の向上に繋がります。指導者同士が互いの型を理解することで、協力しやすくなり、より効果的なチームワークを発揮することができるようになります。また、部下も指導者の型を理解することで、指導者の行動を理解しやすくなり、円滑なコミュニケーションを図ることができます。このように、ＰＭ理論は組織全体を活性化させ、より良い組織作りに貢献する力強い道具となるでしょう。