デンドログラムとは?意味・仕組み・活用例をわかりやすく解説

デンドログラムとは?意味・仕組み・活用例をわかりやすく解説

AIの初心者

樹形図で表すデンドログラムは、何のために使うのですか?

AI専門家

似たデータがまとまっていく過程を見て、全体の構造やグループ同士の隔たりをつかむために使うよ。顧客の購買傾向を分類するときにも役立つんだ。

AIの初心者

普通のグループ分けとは、どこが違うのでしょうか?

AI専門家

最終結果だけでなく、どの順番で小さな集団が大きな集団へ統合されたかを確認できる点だね。枝を切る高さを変えれば、分類の細かさも比較できるよ。

デンドログラムとは。

似たデータが段階的にまとまる過程を、木の枝のような形で表した図です。階層的クラスタリングの結果を理解し、クラスター数を検討するために使います。

デンドログラムは、データ分析で使われる階層的クラスタリングの結果を樹形図として表現したものです。枝のつながりを見ると、どのデータが似ているかだけでなく、どの段階でグループが統合されたかまで確認できます。

この記事では、デンドログラムの意味、作成の仕組み、読み方、距離尺度と連結法の違い、活用例、注意点を初めて学ぶ人にも追いやすい順序で解説します。

データ点が階層的な枝へまとまるデンドログラムのイメージ

デンドログラムとは

デンドログラム(dendrogram)は、個々のデータを葉として置き、似ているもの同士が結合して大きなクラスターになる過程を示します。一般的な凝集型の階層的クラスタリングでは、最初は各データが一つずつ独立したクラスターです。そこから最も近い二つを順番に結び、最後に全体が一つになるまで統合します。

平面上の散布図は二つか三つの特徴しか同時に見せにくい一方、デンドログラムは多数の特徴から計算した距離を階層構造として要約できます。そのため、クラスター数を最初に固定せず、複数の分け方を比較できることが大きな利点です。

「樹形図」は枝分かれする図の総称です。デンドログラムも樹形図の一種ですが、通常はクラスタリングで得た階層を指します。また、生物の系統樹は共通祖先や進化の仮説を表す図であり、単に特徴量の近さをまとめたデンドログラムと必ずしも同じ意味ではありません。

デンドログラムを作る仕組み

作成手順は、①分析に使う特徴量を整える、②データ間の距離または非類似度を計算する、③最も近いクラスターを統合する、④新しいクラスターと残りのクラスターの距離を計算し直す、という流れです。③と④を繰り返し、すべてが一つになるまでの履歴を図にします。

近いデータ点から段階的にクラスターへ統合する流れ

数値データではユークリッド距離やマンハッタン距離、文章や高次元ベクトルではコサイン距離などが候補になります。カテゴリデータにはハミング距離など、データ型に合う尺度が必要です。コサイン類似度を使う場合は、値が大きいほど近いという類似度を、クラスタリングで扱える非類似度へ変換して利用することがあります。

身長と年収のように単位や値の幅が大きく異なる特徴量をそのまま使うと、数値の大きい特徴が距離を支配します。そこで、平均0・標準偏差1にそろえる標準化などを先に行うのが一般的です。

距離尺度と連結法で結果が変わる

データ間の近さを決めるのが距離尺度で、クラスター同士の近さを決めるのが連結法です。同じデータでも、この組み合わせが違えば枝の形や得られるクラスターは変わります。

同じデータに対する連結法別のデンドログラム比較

連結法 判断基準 特徴と注意点
単連結法 最も近い点同士 細長い連鎖ができやすく、橋渡しする点の影響を受けやすい
完全連結法 最も遠い点同士 まとまりのよいクラスターになりやすいが、外れ値に敏感
平均連結法 全ペアの平均距離 単連結と完全連結の中間的な結果になりやすい
ウォード法 統合によるクラスター内分散の増加 大きさの近い球状クラスターを得やすい。通常はユークリッド距離と組み合わせる

初心者が連続値データを試すなら、標準化したうえでウォード法を起点にし、平均連結法などでも構造が大きく変わらないか比較すると判断しやすくなります。ただし、最適な方法はデータの形と分析目的によって異なります。

デンドログラムの読み方

枝の先端にある葉は個々のデータです。枝が合流する位置は二つのクラスターが統合された段階を表し、縦軸はそのときの距離または不一致度を示します。低い位置で結合するものほど、選んだ尺度と連結法のもとでは近い関係です。

ただし、縦軸を常に「二点間の実距離」と解釈してはいけません。ウォード法なら統合による分散の増加量など、高さの意味は連結法によって変わるためです。また、葉の左右の並び自体には決定的な意味がなく、枝を回転させても同じ階層を表せます。

デンドログラムを水平線で切って3つのクラスターに分ける例

クラスター数を決めるには、デンドログラムを任意の高さで水平に切ります。切断線と交差する枝の本数が、基本的にはクラスター数です。結合の高さが急に大きくなる長い縦方向の空間があれば、その手前で切ると自然なまとまりを得られる可能性があります。

ただし、見た目だけで唯一の正解が決まるわけではありません。業務上必要な分類数、各群の解釈可能性、シルエット係数などの指標、別データでも再現するかを合わせて確認します。

顧客データで考える具体例

顧客を「年間購入額」「購入頻度」「最終購入からの日数」で分類するとします。まず欠損値や外れ値を確認し、三つの値を標準化します。次に距離と連結法を選び、デンドログラムを作ります。

高めの位置で切って三群に分けた結果、「高頻度・高購入額」「購入間隔が空いている」「少額だが定期購入」と解釈できれば、それぞれに優良顧客向け特典、再訪促進、関連商品の提案といった施策を検討できます。重要なのは、図から自動的に顧客像が決まるのではなく、元の特徴量に戻って各群の平均や分布を確認することです。

デンドログラムの主な活用例

マーケティングでは顧客や商品のセグメンテーション、生物学では遺伝子発現パターンや観測対象の類似性確認、画像処理では特徴の近い画像の整理、自然言語処理では文書や単語ベクトルの構造把握に利用されます。

顧客、生物、文書、画像に広がるデンドログラムの活用例

特に、正解ラベルがない探索的分析で「どのようなまとまりがありそうか」を調べる場面に向いています。統合過程を残すため、結果だけを返す手法よりも分類の粒度を説明しやすい点も利点です。

利用時の注意点

デンドログラムは便利ですが、距離尺度、標準化、連結法、外れ値によって結果が変わります。データ数が多いと葉が密集して読みにくくなり、距離行列の計算量やメモリも増えます。その場合は、代表点への集約やサンプリング、別のクラスタリング手法も検討します。

また、枝が近いことは、入力した特徴量と選択した手法のもとで似ているという意味にすぎません。因果関係や、生物学的な共通祖先、業務上の価値をそれだけで証明するものではありません。複数の設定で安定性を確かめ、元データと目的に照らして解釈することが大切です。

まとめ

デンドログラムは、階層的クラスタリングでデータが統合される過程を示す樹形図です。葉と枝、結合の高さ、水平に切る位置を見ることで、似たデータのまとまりと分類の粒度を検討できます。

一方で、図の形は前処理、距離尺度、連結法に依存します。見た目だけで結論を出さず、複数条件での安定性、評価指標、各クラスターの特徴を確認して活用しましょう。

更新履歴

日付 内容
2025年2月1日 初回公開
2026年7月11日 連結法の比較と枝の読み方、分析時の判断ポイントを追記