メル周波数ケプストラム係数

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アルゴリズム

音声認識の鍵、メル周波数ケプストラム係数

近年、音声を使った技術が、広く使われるようになってきました。携帯電話での音声による検索や、家庭にある機器との会話は、今では当たり前の光景となっています。こうした技術を支えるのが、人の声を機械が理解できる形に変換する技術です。その変換処理で重要な役割を担うのが、メル周波数ケプストラム係数(略してエムエフシーシー)です。これは、音色の特徴を捉えるのに役立ちます。本稿では、このエムエフシーシーとは何か、音声認識でどのように役立っているのかを説明します。 まず、エムエフシーシーは、音の波形データから計算される数値列です。この数値列は、人間が音の高低をどのように感じるかという点に着目して作られています。人間の耳は、低い音よりも高い音に対して、音の高さの違いを敏感に感じ取ります。エムエフシーシーは、この人間の聴覚特性を考慮に入れて計算されます。具体的には、音声を周波数ごとに分解し、人間の聴覚特性に合わせてまとめた後、さらに処理を加えて得られます。 エムエフシーシーは、音声認識において、音声を特定の音(例えば、「あ」や「い」など)に分類するために利用されます。音声認識では、入力された音声がどの音に当たるのかを判断する必要があります。この時、エムエフシーシーは、音の特徴を捉えた数値列として用いられます。それぞれの音は異なるエムエフシーシーのパターンを持つため、入力された音声のエムエフシーシーと、あらかじめ登録されている各音のエムエフシーシーを比較することで、どの音に一番近いかを判断することができます。 このように、エムエフシーシーは、人間の音の感じ方を考慮した計算方法によって、音色の特徴を適切に捉え、音声認識において重要な役割を果たしています。音声認識技術の進化に伴い、エムエフシーシーの重要性はさらに増していくと考えられます。