アルゴリズム 人間の音の感じ方を測る:メル尺度
私たちは、身の回りで様々な音を耳にします。鳥のさえずり、風の音、楽器の音など、どれも音の高さが違います。この音の高低は、物理的には音波の振動数、つまり周波数によって決まります。周波数が高いほど、音は高く聞こえ、周波数が低いほど、音は低く聞こえます。
興味深いことに、人間の耳は、この周波数の違いを均等に感じ取っているわけではありません。高い音の場合、わずかな周波数の違いでも、はっきりと別の音として聞き分けることができます。例えば、ピアノの高い音域で隣り合った鍵盤を弾くと、ほとんどの人がその二つの音の高低差を容易に聞き分けられます。これは、高い周波数領域では、人間の耳が周波数の変化に非常に敏感であることを示しています。
ところが、低い音になると話は変わってきます。ピアノの高い音で簡単に聞き分けられた程度の周波数差であっても、低い音ではその違いを聞き取るのが難しくなります。例えば、コントラバスのような低い音を出す楽器で、ピアノの高い音と同じだけの周波数差を持つ二つの音を鳴らしても、多くの人は二つの音の差を聞き取ることができません。低い周波数領域では、人間の耳は周波数の変化に鈍感になるのです。
このように、人間の聴覚は、周波数の絶対的な差ではなく、相対的な差に反応していると考えられます。つまり、低い音は、高い音に比べて、大きな周波数変化がないと音の高低差として認識されないのです。これは、人間の聴覚が、進化の過程で、生存に重要な音、例えば、他の動物の鳴き声や、仲間とのコミュニケーションに必要な音などを聞き取るように最適化されてきた結果なのかもしれません。
